クトゥルフモンスターガイド

 こりもせず、コアなクトゥルー神話ヲタしか手をださないようなものの紹介に行きます。(いえ、そんなに持ち弾はないんですけどね……)

 今回は、『クトゥルフモンスターガイド』!
 クトゥルフ神話系のイラスト系ガイドブックで、もっとも面白いものです。(というか、クトゥルフ神話を扱ったイラスト系ガイドブックなんて他にないのかもしれませんが……)

《著者》
 サンディ・ピーターセン(発行:ホビージャパン

《内容》
 「サンディ・ピーターセン、あんたどんだけ遊んで(楽しんで)この作品を書いたっ!?」と聞きたくなるような内容です。

 まず最初に、「識別ガイド」があり、紹介するモンスター(神様も含む)を分類していきます。
 
 


 1.目に見えない怪物ですか?
 ●はい ──2番へ行ってください。
 ●いいえ ──3番へ行ってください。


 ためしに2番を選ぶとしましょう。


 2.そいつの出す音は・・・
 ●風を送るような、口笛のような音ですか? ──盲目のものです。26〜27ページを見てください。
 ●クスクス笑うような音ですか? ──星の精です。58〜59ページを見てください。


 と……。こんな感じで28項目の分岐で27種に分けていきます。



 なお、われらがニャルさまはこの分類の時点で異色です! 


 3.形がありますか?
 ●はい ── 4番へ行ってください。
 ●いいえ ──22番へ行ってください。
 ●色々な形をとることがあります──ニャルラトテップです。48〜49ページを見てください。
 ※ ニャルラトテップはいろいろな形をとる怪物なので、当"識別ガイド”でも、色々な場所に当てはまってしまうかも知れません。この怪物は、地球上では、目に見えない形として出現したしたことはありませんから、目に見えない形というのはないかも知れません。ニャルラトテップであるということは、外観からではなくて、性質や振る舞いから知るしかありません。ニャルラトテップは、普通、自分がニャルラトテップであると簡単に認めます。だから、ニャルラトテップと話すことができれば、それがニャルラトテップであることを知るのに問題はありません。


 相変わらず、ダントツで浮いています……(笑)



《内容・その2》
 あとは、“識別ガイド”で分類された27種の解説が続くわけですが、日本で売っているような辞典や解説書とは一線を画しています。

 たとえば、ビヤーキー(バイアクヘー、バイアキー)の項目。

 ……ビヤーキーの断面図があります。
 フーンとよばれる謎の器官によって地上では時速70km、宇宙では光の速さの10分の1で飛ぶ、などと書かれています。
 怪獣図鑑のノリです(笑)


《内容・その3》
 巻末に書かれている推薦書籍もすばらしいです。

 アーカム・ハウスやらケイオシアムなどの普通の出版社に混じって、


─ 1983 “新ティンダロスの猟犬年表” 超形而上学会報81 : 22-48


 やら、



キルトン、デーナ・C 1979 “幻夢境に南の端はあるのか?” 超形而上学会報77 : 104-141、256ページ以降に地図


 なんてのが混ざっています(笑)

 ティンダロスの猟犬年表をみながら、学者は遼丹飲んで突撃するんだろうなあ……なんて思うと楽しいものがあります。で、もし見つかったら、用意していた丸いカプセルにこもるんだろうなあ、なんて(笑)

 こっそり書いてる自作のネタに、ティンダロス研究をしている学者の話を使いたいくらいです……。(というか、余裕で使うと思ます……)



《総評》
 アマゾンで中古品を探すとなると、高いです。
 さっき検索して見たら、9000円とかついてました。
 正直なところ、9000円出してまで所有するものではない、と思います。
 が、所有欲というのはお金では計れないものですよね……。


 京都市民、および京都に通勤、通学している方は京都市営の図書館においてありますので、借りることができます。系列の図書館なら、おそらくどこからでも取り寄せれますので、それで見るのがいいかもです。(実は私もそれで出会いました)