『讃えよ!海産物(主にタコを)に絵をつけてみた』全秒詳細解説
クトゥルカ様降臨により、クトゥルフ神話動画製作が活性化しています。
今日の発掘日記は『讃えよ!海産物(主にタコを)』の手描きPVです。
以下はPVの全秒詳細解説を試みたものです。
ヒトデに書かれた「ぞす おむもぐ」とはどういう意味なのか?
どうしてブリの一枚絵は「こんな胸の大きい子が」なのか?
あのクトゥルフ様の造形は何を参照にしたのか?
など──。
私が調べられる範囲内のものを全て書き記しました。
なお、解釈漏れや解釈間違いもあると思いますが、ご了承ください。
■ 作者による素材ZIP配布
現在、制作者により使用画像がアップされています。(2009年2月16日現在)
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■ 注意書き解説
【注意書き】
・0分00秒〜0分17秒
黄金の蜂蜜酒【Golden Mead】:クトゥルフ神話における秘薬。肉体から精神を離脱させたり、感覚を鋭敏にしたりする。バイアキーを使役するときに飲む必要がある。(※1)
エルダーサイン【Elder Sign】:旧神の印、旧き印。クトゥルフ神話神群の下僕や奉仕種族に対して強力な護符、あるいは封印となる呪印。ルカの叩く太鼓に書かれている五芒星の中に燃え立つ眼、と言うデザインが一般的。
銀の黄昏錬金術教団【the Hermetic Order of the Silver Twilight】:『クトゥルフの呼び声TRPG』サプリメント『ヨグ=ソトースの影』に収録された第一のシナリオ名。ルルイエを浮上させ、クトゥルフ復活を目的とする。
クトゥルー教団【Cthulhu Cult】:『クトゥルー1』収録の『クトゥルーの呼び声』に登場する教団。クトゥルーを崇拝し、復活を目指す。
黒のファラオ団【Brotherhood of the Black Pharaoh】:ニャルラトテップの化身“暗黒のファラオ”復活を目論むカルト。(『エンサイクロペディア・クトゥルフ』P36)
星の智慧派【Starry Wisdom Cult】:『闇をさまようもの』『アーカム計画』などで暗躍したカルト。ニャルラトテップの化身と噂される“ナイ神父”が有名。『アーカム計画』ではクトゥルフの復活を目指した。
90度以下の鋭角:ティンダロスの猟犬が顕現できる条件。(※2)
窓の外:『ダゴン』(『ラヴクラフト全集5』収録)のネタ。「窓に! 窓に!」のほのめかし。(※1)
漁村:インスマス、夜刀浦、陰洲升、寄郡など、クトゥルー神話系で漁村に行くと、ほぼ確実に事件に巻き込まれる。
黒っぽい人:外なる神ニャルラトテップの隠語。(※3)
※1 黄金の蜂蜜酒、バイアキー、「窓に! 窓に!」についてはこのブログの 別の場所 に詳しい(?)解説あり。
※2 ティンダロスの猟犬【Hound of Tindalos】とは、別次元に棲まうクリーチャー。蒼い舌、毛のない緑の犬のような姿をしており、鋭角のみを通って移動する不浄の存在。本来は角度のない場所からは現れないが、今回は動画の隅から出現! 動画の端を角と考えた面白いメタ表現。なお、『ティンダロスの猟犬』において主人公が“部屋の隅”をも石膏で埋めていたことから、90度でも通り抜けて来ると推測される。
※3 ニャルラトテップ【Nyarlathotep】とは、旧神の封印を唯一免れた外なる神のこと。万物を──己さえも嘲笑う狂気の神で、人間の文明に介入し、混沌に陥れては喜ぶ。這い寄る混沌、無貌の神、黒い男など、様々な二つ名と化身を持つ。宇宙の中心に座する白痴の魔王アザトースに仕える。日本にも信者が多く、ニャル様と呼ばれて崇拝(?)されている。
■ プロローグ解説
【プロローグ】
・0分18秒〜0分24秒:ルカ様のアップ・0分25秒〜0分31秒
ルカ様「海産物! 讃えるよ!!!!」
持っている骨には「博多豚骨」
胸のヒトデには「ぞす おむもぐ」(※4)
ボディペイントは、 ネオランガ を参照(?)
※4 ゾス=オムモグ【Zoth-Ommog】とは、体は円錐形で、頭部に4本のヒトデのような触手とヘビのようなヒゲが生えた姿のグレート・オールド・ワン。(『エンサイクロペディア・クトゥルフ』P155より)おそらく、ルカ様はゾス=オムモグの触手を引っこ抜いて、それを胸に付けているのだと思います。っていうかヒトデを越えて透けるルカのティクビは強いティクビ。胸のヒトデになってワサワサしたいと思った人は挙手。(・ω・)ノシ
■ 本編解説
【序盤】
・0分32秒〜2分03秒
骨で太鼓を叩くルカ様。
中央には古の印【Elder Sign】の模様が入った太鼓。
中央と左には、たこルカ。
右には、クトゥルフ様の石像。
・0分37秒:クロマグロ
・0分40秒〜0分50秒:左の島に月に吠えるもの。ニャル様の化身。捻れた頭部に三本脚が基本。 月に吠えるものは、このフィギュア がグロ格好いい!
・0分46秒:紅鮭の見てる前でクマにローキックを喰らわせるルカ様。このクマとの対決は、ニコ動の古典 熊との死闘(sm14) が元ネタ。・0分51秒:イカ
・0分53秒:ヒラメ。豆知識、ヒラメとカレイの違い→■
・0分54秒〜0分58秒:マグロ
・1分01秒:ブリを持ったルカ様。(※5)
【中盤】
・1分04秒〜1分08秒:左上に蒼い霞。その後、ティンダロスの猟犬が90度の角度から出現。
・1分09秒:トラフグと、もう一匹いるのはどうやら『 トリコ 』に登場する“フグ鯨”らしい。地中から首だけを出しているのは「ふぐにあたれば砂中に埋めると良い」という俗説(?)から。「ラッパのマークはいるかい?」から、持っているのは正露丸だと思われる。(※6)
※6 正露丸【sei ro gan】。元は「クレオソート丸」と言う名だったが、日露戦争の時に征露丸という俗称が与えられ、現在に引き継がれている。
・1分15秒〜1分22秒:中央にたこルカ。
・1分16秒:カニ
・1分18秒:イセエビ
・1分19秒:カニカマ(※7)
・1分20秒〜1分22秒:タコ
※7 豆知識。カニカマはあくまで外見だけ。カニ肉は入っていない。原料はスケトウダラ。
・1分26秒〜1分27秒:左にルカ様、中央にインスマス面【Innsmouth Look】の店主、右に佐野史郎(?)。(※8)(※9)
※8 「文句があるならインスマスにいらっしゃい!」「ここだよ」の下りは、TVドラマ「インスマスを覆う影」にて 佐野史郎 が主人公を務めたことに由来すると思われる。なお、ドラマでの時の表記は“陰洲升”。
※9 インスマス面【いんすます づら Innsmouth Look】とは、マサチューセッツ州インスマスの住人が、見開かれた目、平らな鼻、鱗状の皮膚、首のたるみという特徴的な容貌を持つことから言われる形容。深きものども【Deep Ones】と人間との混血がインスマス面になる。
【終盤】
・1分27秒〜1分33秒:たこルカが緑色になり、翼が!(※10)
・1分31秒〜1分33秒:中央から太陽を背にクトゥルー様が復活!(※11)
・1分33秒〜1分35秒:ウナギとヤツメウナギの解説。東方PROJECTのミスティア・ローレライが登場(ミスティアは焼き八目鰻屋を経営していることから)。
・1分39秒〜1分42秒:上部にたこルカ。
・1分40秒:ハマグリ
・1分40秒:アワビ
・1分42秒:サザエサン。「カツオォォ!!」(※12)
・1分44秒〜1分45秒:下部にたこルカ。およびカツオ。「そりゃないよ 姉さァァン!!」
・1分50秒〜2分03秒:中央から太陽を背にクトゥルー様が近づいてくる。
・2分02秒〜2分03秒:たこルカが緑に。大量の翼が生える!
※10 大いなるクトゥルーの緑の体色を持ち、コウモリの翼を持つとされる。とは言えこのたこルカは、ピアプロの 「いあくとぅるか」 を参考にしたものと思われる。
※11 このクトゥルー様の造形は このフィギュア を参考にしていると思われる。
※12 巡音ルカにたこルカがいるように、サザエさんにもサザエ型のクリーチャーが……いや、まさか……ハハ……。きっと見間違いだよ、うん。
■ エンディング解説
【エンディング】
・2分06秒〜2分14秒
驚愕のどんでん返し!
クトゥルフに犠牲を捧げるのではなく、クトゥルフが犠牲に。
ルカ様>>>>クトゥルフ様。
クトゥルフ様は、ユデダコ、サシミ、スノモノに……?
・2分17秒〜2分23秒
何かをぶっ刺したような効果音の後、 『妖神グルメ』 的な落ちに。
ルカ様はたこルカを養うために、邪神を呼び出して食べた超絶END!
“讃えよ!海産物”の海の幸にはクトゥルフも含まれるということ。
「さあ 食え お前好きだろ 邪神スープ」との台詞から、沢山の邪神(クトゥルフの落とし子?)を狩っていると推測される。ルカ、TUEEEEEEEEEEEE!(※13)
最後、星と化したクトゥルフ様「俺、ルルイエ還ったら結婚するんだ…」
※13 クトゥルフの落とし子【Spown of Cthulhu】とは、クトゥルフと共に地球に来訪したクトゥルフの同胞、あるいはその血を引く同族のこと。忘れがちだが、クトゥルフ様は宇宙のどこかから地球にやって来た神様。
■ 呟き。
ニコニコ動画から生まれた禍神クトゥルカ様の影響力は凄いですね。
本当、日本クトゥルフ神話史に大きな痕跡を残しそうです。
いあ! いあ! くとぅるか!
深海の歌姫を崇める同胞に、狂気の女神の祝いと呪いがあらんことを!
■ 追記(2009年02月14日)
最近この僻地に訪れる者が増えた。とある失踪者──sm6139756と言う名前のようだ──が残した手記に、この図書館の住所が書かれていたらしい。
驚いたが、その厚意には心から感謝したい。
訪問者達は清涼なる風と新しい見知を運んでくれる。私はそれが嬉しい。
とはいえ怪しげな輩も増えた。
特に港町から来たと語る猫背の男には閉口する。“例の稀書”を買いたいと言うのだが、一体どこから嗅ぎつけたのか。売り物ではないと追い出すと、後には魚の腐った臭いが残った。
以来薄気味悪い出来事が続く。
夜には猫より大きな獣の足音が聞こえ、閉めたはずの窓が風に揺られる。昨日は書庫の鍵が壊されていた。このままではいけない。例の書はヘンリに託すことにしよう。あの風変わりな老教授なら何とかしてくれるはずだから。
一晩馬車を飛ばせばアーカムに着く。だがいつもの御者が怪我をしたらしい。初めて顔を見る浅黒い肌の太った男が代わりに来た。その御者の首の皮はたるみ……いや、気のせいだ。人間の首に鰓などあるはずないのだから。
揺れは酷いが眠るとしよう。
朝目覚めた時には無事着いていることを祈って。
── 無人の馬車で発見された手記より ──