萌えクトゥルフの歴史

 萌えクトゥルフ年表


 まずは資料としての年表を。
 その後で、時代ごとの特徴を簡単にまとめています。*1


  1980〜1990



 ・1985 『戦え!! イクサー1』 : 百合&ロボットもの。(アニメ)*2
 ・1987 『偽ク・トゥルー神話体系Vol.1』 : クトゥルー女体化解説書(同人誌)
 ・1988 『ラミア 邪神伝説』 : クトゥルー伝奇で女性ヒロイン(漫画)
 ・1990 『クトゥルフ少女伝説』 : 萌えクトゥルフ解説書(同人誌) 


  ・参考 1974 『ラヴクラフト傑作選』(小説)
  ・参考 1981 『魔界水滸伝』
  ・参考 1982 『真ク・リトル・リトル神話大系』(小説)
  ・参考 1984 『魔境遊撃隊』(小説)
  ・参考 1984 『妖神グルメ』(小説)
  ・参考 1986 『クトゥルフの呼び声』(TRPG)
  ・参考 1988 『別冊幻想文学 クトゥルー倶楽部』(解説本)


 日本で最初のクトゥルー神話の女体化は1987年。「偽ク・トゥルー神話体系Vol.1」という同人誌で、ダゴン、クトゥルー、バイアクヘー、ミ=ゴゥが女体化されています。(情報提供、独覚さま。スクリーンショットはこちらの記事にアップしております)
 同じく同人誌では、1990年に、『クトゥルフモンスターガイド』をすべて少女化してデザインしなおした『クトゥルフ少女伝説』が出ました。(情報提供:クトゥルー神話情報サイト赤虫療養所の寺田幸弘さん)

 神格女体化ではありませんが、萌えを意識させるクトゥルフものとして影響が大きかったのは『戦え!! イクサー1』と『邪神伝説』シリーズです。前者はアニメで、後者はコミックでクトゥルーを扱い、多くの読者を獲得しました。
 萌えとは少し外れますが、1980年代には『真ク・リトル・リトル神話大系』や『暗黒神話体系クトゥルー』と言ったクトゥルー神話アンソロジーがリリースされ、エンタメ小説で『魔界水滸伝』『魔境遊撃隊』『妖神グルメ』が、TRPGで『クトゥルフの呼び声』がリリースされてヒットしました。これらが日本クトゥルー神話史の土台になっております。


  ・参考(海外) 1949 『The Final War』(小説) この掌編の中でクトゥルー様が絶世の美女化しているらしいです。しかも、なんと1949年。日本よりもダントツで早いです。詳細はクトゥルー神話研究家の竹岡啓さんによるクトゥルー神話情報満載の凡々ブログを御覧ください。
  ・参考(海外) 1986 『I Cthulhu』(小説)  同じく竹岡啓さんからの情報です。擬人化とは少し違いますが、『クトゥルーが身の上話をするという奇天烈な掌編で、終始クトゥルーによる一人称で物語が進みます。最後に「未知なる永劫の果てるときになったら、この惑星の文明を滅ぼして里帰りし、結婚して子供を産むことにするか」と今後の予定が語られ、クトゥルーが婚姻適齢期前の女の子だったという衝撃の事実が明らかになります。』とのこと。英語が解るのでしたらこちらで読めます。やはり海外は進んでますね……。


  1990〜2000



 ・1991 『コンフュージョン(コンフュージョン 邪神伝説)』 : 女体ニャル(漫画)
 ・1993 『クトゥルフの呼び出し(コンフュージョン 邪神伝説)』 : もふもふクトゥルー(漫画)
 ・1994 『ネクロノミコン』 : クトゥルー伝奇(18禁ゲーム)
 ・1994 『アリシア・Y』 : クトゥルー伝奇(漫画)
 ・1995 『黒の断章』 : クトゥルー伝奇(18禁ゲーム)
 ・1997 『マジカル ディープ☆ワン』 : 女体化クトゥルー(18禁ゲーム)
 ・1998 『邪神ハンター』 : クトゥルー伝奇(エロラノベ)
 ・1999 『腐色の瞳』 : 女体化ニャルラトテップ(同人ゲーム)
 ・1999 『ニライカナイ』 : 女性ヒロインのクトゥルー伝奇(漫画)
 ・1999 『エンジェルフォイゾン』 : 女体化アザトースなど(漫画)
 ・1999 『終ノ空』 : 三大電波ゲーム。クトゥルー要素あり。(18禁ゲーム)
 ・1999 『果てしなく青い、この空の下で…。』 : 伝奇物の名作。(18禁ゲーム)


  ・参考 1992 『Alone in the Dark』(PCゲーム)
  ・参考 1999〜2000 『ペルソナ2罪』『ペルソナ2罰』(プレイステーション)


 1990年代は、世界初の3Dポリゴンゲーム『Alone in the Dark』の敵がクトゥルー神話のクリーチャーだったお陰で、一般の人にもクトゥルー神話の知識が広まりました。その流れで18禁PCゲーム『ネクロノミコン』や『黒の断章』が登場し、『黒の断章』はセガサターンの移植でも大ヒットします。
 萌えクトゥルフ的に重要なのは、1997年の『マジカル ディープ☆ワン』。これがおそらく18禁ゲームにおけるクトゥルー女体化の嚆矢です。ただし知名度が低く、ネタとして時々語られるのみで影響はほとんどなかったようです。
 おそらく……ですが、クトゥルー女体化で大きかったのは1999年の漫画『エンジェルフォイゾン』の方でしょう。アザトース、アトラク=ナチャ、バステトなど複数のクトゥルー神話存在が女体化しています。


  2000〜2005



 ・2002 『朝の来ない夜に抱かれて』 : 主人公が無貌の神(18禁ゲーム)
 ・2003 『斬魔大聖デモンベイン』 : 魔導書擬人化(18禁ゲーム)
 ・2003 『沙耶の唄』 : 女性ヒロインが神話存在っぽい(18禁ゲーム)


  ・参考 2002 2chにてクトゥルフ最萌トーナメント : 観測所HP(ネット)
  ・参考 2003 2ch萌えクトゥルフスレ : まとめサイト(ネット)
  ・参考 2004 『ひでぼんの書』 : 2ch連載の擬人化エロクトゥルフ(ネット)


 1990年代に増えてきていた萌えクトゥルー神話ネタ作品の供給を安定させるきっかけとなったのが、2002年の『朝の来ない夜に抱かれて』と2003年の『斬魔大聖デモンベイン』、2003年の『沙耶の唄』という3作だと思います。『朝の来ない夜に抱かれて』も結構ヒットしたようで、クトゥルー神話の知名度上昇につながったと思うのですが、それ以上に『斬魔大聖デモンベイン』がヒットしました。特に美少女ゲームへの影響が顕著で、こちらの年表では目に見えて数が増えています。*3


 商業媒体ではないのですが、2002年には2chで行われたクトゥルフ最萌トーナメントの影響も大きかったのではないかと推測しています。その後、萌エロクトゥルフスレが立ったり、『ひでぼんの書』が連載されたりと、クトゥルフと萌えはつながるのだと、ファンの多くに意識させる結果になったと思われます。それらの一部は萌エロクトゥルフ万魔殿にまとめられています。


  2006〜2010



 ・2006 『エーテルの砂時計』 : ウルタールの猫女体化(18禁ゲーム)
 ・2006 『終末少女幻想アリスマチック』 : 萌え×クトゥルー伝奇(18禁ゲーム)
 ・2006 『Cross Fire』 : ヨグ=ソトース女体化(18禁ゲーム)
 ・2007 『ニャルルゥ』 : 女体化ニャルラトテップの人形(ドール) 
 ・2007 『うらにわのかみさま 邪神さまにおねがい』 : 女体化クトゥルー(ラノベ)
 ・2007 『邪神少女クスル』 : 女体化クトゥルーの人形(ドール) 
 ・2008 『死図眼のイタカ』 : 女体化イタカ(ラノベ)
 ・2008 『漆黒のシャルノス』 : ダーレス女体化(18禁ゲーム)
 ・2009 『這いよれ! ニャル子さん』 : 女体化ニャルラトテップ(ラノベ)
 ・2009 『萌え萌えクトゥルー神話事典』 : クトゥルー神話存在女体化(解説本)
 ・2009 『魔海少女ルルイエ・ルル』 : クトゥルー擬人化(エロラノベ)
 ・2010 『ク・リトル・リトル』 : 触手×クトゥルー(18禁ゲーム)
 ・2010 『神羅万象チョコ ゼクスファクター』 : 萌え+クトゥルー要素(食玩)
 ・2010 『うちのメイドは不定形』 : ショゴス女体化(ラノベ)
 ・2010 『魔法少女プリティ☆ベル』 : 魔法少女×クトゥルー神話(コミック)
 ・2010 『ねんどろいど天野遠子』 : 組み換えパーツで深きものに(ねんどろいど)


  ・参考 2006 異形の群れ : こちらで読める女体化クトゥルー神話(ウェブコミック)
  ・参考 2007 pixivのクトゥルー関連イラスト : 最古のイラストはこちら(ネット)
  ・参考 2007 ニコニコ動画 : 萌えクトゥルフタグなど。(ネット)
  ・参考 2009 『Vocaloid 巡音ルカ』 : ニコニコ動画でクトゥルカがヒット(ネット)
  ・参考 2011 『Fate/Zero』 : ルルイエ異本からクトゥルー的海魔が召喚(アニメ)


 ラノベの萌えクトゥルフ的に大きかったのは、2007年の『うらにわのかみさま 邪神さまにおねがい』と2009年の『這いよれ! ニャル子さん』です。『うらにわのかみさま 邪神さまにおねがい』ではクトゥルー様そのものが擬人化し、ニャル子さんはフラッシュアニメ化、コミック化、TVアニメ化と凄まじい展開を見せ、クトゥルー神話の知名度拡大に大貢献しました。
 ドールでは、2006年にニャルルゥ、2007年にクスル、2008年にハスイータがボークスから発表されています。知る人ぞ知る商品でしたが、『うらにわのかみさま』と同年にクトゥルー女体化がもう一つリリースされたことで、以降の『萌えクトゥルー』の敷居がさらに低くなったように感じています。

 あと、ニコニコ動画におけるクトゥルー関連動画と、pixivに置けるクトゥルー神話イラストの投稿は、それまで触れることがなかった人に、クトゥルフ神話を伝える場所になっていると感じています。(クトゥルカ、萌えクトゥルフでは、【手書きPV】讃えよ!海産物(主にタコを)に絵をつけてみた【巡音ルカ】ナイアさんのあれとかこれとかなど)


  2011〜現在



 ・2011 『異形たちによると世界は...』 : クトゥルー擬人化(漫画)
 ・2011 『ネクロノミコン異聞』 : 萌えクトゥルー伝奇(ラノベ)
 ・2011 『カオスコード』 : クティーラ擬人化(格闘ゲーム)
 ・2011 『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』 : 萌え絵の解説本(解説本)


 恐怖と萌えというギャップが惹きつけるのでしょうか。
 2011年以降も、萌えクトゥルー神話は安定して商品をリリースしているように思えます。


 大雑把ですが、以上が日本における萌えクトゥルー神話の流れです。


 狭義の『萌えクトゥルフ』について


 狭義の萌えクトゥルフ──つまり、クトゥルー神話存在そのものが擬人化して萌えの対象になるものとなると、実は数がありません。
 上記の年表で、しかも商業だけだと、『マジカル ディープ☆ワン』『エンジェルフォイゾン』『斬魔大聖デモンベイン』『沙耶の唄』『エーテルの砂時計』『Cross Fire』『うらにわのかみさま 邪神たちにおねがい』『漆黒のシャルノス』『死図眼のイタカ』『這いよれ! ニャル子さん』『萌え萌えクトゥルー事典』『魔海少女ルルイエ・ルル』『うちのメイドは不定形』『異形たちによると世界は...』『カオスコード』『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』くらいしかありません。(クトゥルー神話系作品は結構膨大なので漏れがあると思われます……。ご容赦ください)


 なお、もう一つ、萌えクトゥルーと呼べるものがあります。
 クトゥルー神話存在たちの造形をそのままに可愛らしくした、ある意味本当の「クトゥルー」への萌えです。これも少なく、こんな風にクトゥルーぬいぐるみが売られているくらいで……。


 『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』について


 この記事のモチベーションになったのは、先日届いたばかりの『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』に萌えクトゥルーのコーナーを見つけたためです。本当、すごく素敵にまとめられており、異を挟むこともないのですが、ほんの少し細かなところを勝手にバックアップさせてください。


 途中、以下のような文があります。

「そして21世紀。アキバ系と総称されるオタクジャンルにおいて、クトゥルー神話はついに「萌え」との融合を果たします。転換点となったのはスーパーロボットVS邪神というコンセプトのみならず、ロリ美少女の姿をとった『ネクロノミコン』の精霊アル・アジフがメインヒロインを張り、ファンを驚愕させたニトロプラスの『斬魔大聖デモンベイン』(2003)。『デモンベイン』のスマッシュヒットを境に、ライトノベルやゲームを中心にクトゥルー神話をモチーフとした作品が次々発表されました」


 『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』ではデモンベインが境と書かれておりますが、デモンベイン後(2003年以降)に増えたのではなく、それ以前にすでに増え始めています。デモンベインも増加傾向にあった流れで投入された作品であり、「境」はもう少し前。ただし、デモンベイン以降、18禁ゲームとライトノベルにおけるクトゥルーネタがさらに増えたのは事実だと思います。(2012年01月05日追記。すみません。この記事の後で数えたのですが、ライトノベルはほとんど増えていないことがわかりました。詳細はこちらを御覧ください。ただしこの分析も所詮は1収集家のデータです。後日出版されるらしい『クトゥルー神話大鑑(仮)』で覆される可能性があります)


 なお、狭義の意味での萌えクトゥルー作品が増えた「境」を年表から読み解くなら、『斬魔大聖デモンベイン』が広めやすい下地を作り、2007年の『うらにわのかみさま 邪神さまにお願い』と『邪神少女クスル』が引き金──「境」になったように見えます。
 実際、『デモンベイン』は厳密には魔導書擬人化であり、クトゥルー神格擬人化ではありません。なおデモンベインのナイア──ニャル様擬人化というのは、目新しいものではありません。デモンベイン以前だけでも『腐色の瞳』『終ノ空』『螢子』、『クトゥルフの呼び声TPRG』や小説経由で「膨れ女」や「赤の女王」形態があります。そもそもニャル様はラヴクラフト御大の作品ですでに人間形態で登場するので、女体化、擬人化によるインパクトは少ないと言えるでしょう。
 ですが『うらにわのかみさま』でクトゥルー様がスク水女体化し、造形でも『邪神少女クスル』が出たのは、クトゥルー神話好きにしてみれば、とうとうここまで来たか……感があったと感じています。ですが、その後で出た『這いよれニャル子さん』がヒットしたため、現在「ニャル子さん以降」……という形で語られることが多いんだと思います。
 なお、マイナーエロゲかつ、明確にクトゥルー女体化と名言されているわけじゃないためインパクトが薄く、ほぼ話題にならなかった『マジカル ディープ☆ワン』によるクトゥルー女体化はそっとしておいてあげて下さい……。


 ライトノベル界では、『うらにわのかみさま 邪神さまにお願い』の登場後、2008年の『死図眼のイタカ』、2009年の『這いよれ! ニャル子さん』、2010年の『うちのメイドは不定形』『魔海少女ルルイエ・ルル』という風に作品がリリースされています。
 参考として、ブログで2006年から連載されていたクトゥルー女体化ウェブ漫画『異形の群れ』があります。(2011年に『異形たちによると世界は...』としてコミック化)


 最後にもう一つ。
 『萌え絵で巡る! クトゥルー世界の歩き方』では、21世紀に入ってから萌えクトゥルーが初めて生まれたように書かれておりますが、実際には20世紀の段階でも複数作品出ておりました。中でもクトゥルー好きに与えた影響が大きかったと思われるのが、『エンジェルフォイゾン』です。『エンジェルフォイゾン』はこのブログでも記事にしております。興味ある方はこちらを御覧ください。


 すみません。この部分は私の誤読でした。
 (作者の森瀬繚さんにより、コメントでご指摘をいただいております)


 18禁ゲームにおける萌えクトゥルー


 ここでは、18禁ゲームにおける萌えクトゥルーだけを抜き出してまとめてみます。


 第一陣は1994年〜1995年
 18禁ゲーム界では1994年の『ネクロノミコン』の発売がクトゥルー神話ゲームの道を開き、1995年には『黒の断章』が続きました。特に『黒の断章』はセガサターンに移植され、大ヒットします。これが18禁ゲーム界におけるクトゥルー神話の下地を整えたと思っています。


 第二陣は1997年〜2000年
 1997年の『マジカル ディープ☆ワン』でクトゥルー様が萌えキャラ化した後、1999年の『終ノ空』、2000年の『果てしなく青い、この空の下で…。』とニ年連続でクトゥルー神話絡みの伝奇名作が出ました。後者2作の影響は大きかったようで、2002年以降クトゥルー神話をストレートに扱った作品が沢山出ることになります。


 第三陣は2002年〜2004年
 2002年の『朝の来ない夜に抱かれて』と『螢子』、2003年に『斬魔大聖デモンベイン』と『沙耶の唄』、2004年に『3Days』、『蒼色輪廻』が出ました。
 特に『斬魔大聖デモンベイン』の影響は大きく、こちらのブログで紹介されているようにラヴクラフト全集の帯にデモンベインのシナリオライター鋼屋ジンさんの推薦文が載ったことも。また、18禁ゲームライターが影響されたのか、会話や描写にクトゥルーネタのある作品が2004年に固まっています。クトゥルー神話解説本が2004年以降毎年のように出ているのも、デモンベインで読者層が広がったためだと思われます。


 この第三期以降、クトゥルーネタを扱った18禁ゲームが安定して出るようになりました。
 ですが、この時期は作品個別で見るよりもブランド別に見たほうがいいかもしれません。
 『蒼天のセレナリア』『漆黒のシャルノス』などのライアーソフト。『闇の声』シリーズ、『ク・リトル・リトル』、『狗哭』などの Black Cyc。『終ノ空』『しゅぷれーむキャンディ』『素晴らしき日々』のケロQと枕ソフト。『果てしなく青い、この空の下で・・・。』『アトリの空と真鍮の月』のTOPCAT
 嬉しいことにクトゥルー神話ネタ好きのライター&ブランドは、別の作品でも継続してクトゥルー神話ネタを採用してくれることが多いようです。


 以上の分析につながる年表は、別館でまとめたクトゥルー神話系18禁ゲームのリストを御覧ください。


 おまけ:ニコニコ大百科における「ラヴクラフト最大の誤算」について


 ラヴクラフト最大の誤算では、萌えクトゥルーの話題として、このように書かれています。

「この先鞭をつけたのは、「出海まこと」著、「士郎正宗」絵による問題作『邪神ハンター』と見ていいだろう。エロという視点では、掲示板でも挙げられた「後藤寿庵」著の『ALICIA・Y(コミックペンギンクラブで連載)』があり、また擬人化という視点からは、「澁澤工房」著の『ANGEL FOYSON(電撃大王で連載)』を推す声もある。」


 ちょこぉっと違うかもですね。
 『邪神ハンター』の発売日が1998、『アリシア・Y』の発売日が1994で、記事内でも整合性がとれてません。
 あとエロさでいうなら『アリシア・Y』よりも『邪神ハンター』の方が断然上!


 なお、ニコニコ大百科に限らず、普通のwikipediaも結構怪しい箇所が散見されます。管理人クトゥルー以外にも幾つか専門を持っているのですが、そのことごとくで誤謬や誤解が書かれていたり……。(本に書かれているのは確かだけど今では否定された説なんじゃー、とか、それは専門外の人が書いた本なんじゃー、とか)
 ともあれ、キチンと自分の目で確かめるのが一番だと思います。はい。
 
 

*1:狭義の意味での萌えクトゥルフ──「クトゥルフ神話存在が萌えキャラ化しているもの」と、「『萌え+クトゥルフ』が別々に存在しているもの」を区別なくリストアップしています

*2:『戦え!! イクサー1』が「萌えクトゥルフ」といえるかは微妙なところです。クトゥルフという名の宇宙種族が敵として出てきますが、クトゥルフ神話存在そのものが萌えキャラ化しているわけではありません。また、クトゥルフとの関連性も名前と触手くらいであり、深海に住んでいるわけでも、神様なわけでもありません。

*3:デモンベインのロボット×クトゥルーは美少女ゲーム界の中だけ見ると新しいコンセプトですが、同コンセプトは、実はこの年表の最初にある『戦えっ!! イクサー1』への回帰だったりします。二人乗りですし、肉体バトルもありますし、シナリオのアウトラインも……。気になる方は実際にご覧下さい。比較するとインスパイア度は結構高いです。またライトノベルでは『秘神黙示ネクロノーム』(1998)という作品があります。