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王道にして外道、『魔法少女プリティ☆ベル』が熱いっ!(そしてエロいっ!)

 魔法少女プリティベル


 『魔法少女プリティ☆ベル』魔法少女ものの王道にして外道。
 作者が好きなものをことごとくぶち込んでいるおかげで、厨二病成分多め、パロディ分超多め、エロ分多め、グロ分多め、設定&世界観の練り込み度高め、という熱い作品になっています。(特に登場するナイアルラトホテップが徹底的にくて素敵!)


 漫画的表現も素晴らしく、後の方の巻で魔法少女が決意してある魔法を使う見開きの表情にはしてやられました。あれを見てこの作品をたくさんの人に広めたいを思ってしまったほど。
 他にも変身シーンとか、ダンスとか、ジロウさんが語る平和論とか、一巻を読むだけでもすげえと思った箇所多数。その後も怒涛の展開が待ち受けています。


 熱さの点では本当にポスト『斬魔大聖デモンベイン』!
 そんなの抜きに、漫画そのものが面白い作品。
 とにかくクトゥルー×バトル好きなら、絶対に買うべし!


 amazon.co.jp:『魔法少女プリティ☆ベル』


 簡易感想、他あれこれ



 まずうれしいのが刊行ペースが早いこと。
 2010年に1巻が出たのですが、もう既に6巻。かと言って中身がスカスカなのではなく、むしろ他の漫画よりも情報量が多く、展開も速いんです。しかも、それでいて面白さが飛び抜けている稀有の作品!


 この創作スピードはパロディ分が多いからだと思うのですが、そのパロディも元作品への愛とリスペクトが込められており、個人的には本家以外であそこまで「ライダーキック」をかっこ良く描いた作品はないと思えるほど。(ライダー好きは必見!)
 他、ストライク・ウィッチーズ、戦隊ものなどなど。どこかで見たアニメ・漫画のキャラがたくさん登場します。(気付き難い所では、ハルヒの巨人とかガメラのイリスの飛行とか。あと多分、描き方として『うしおととら』から影響を受けていそうですが、これは推測)


 あと、どうしてこんなに絵柄がエロいのか……と思っていたら、別名義で18禁のものを描かれていたんですね。妙に納得。


 参考:バー・ぴぃちぴっと全著作(18禁注意)
 参考:魔法少女プリティ☆ベル:第一話試し読み


 プリティベルとクトゥルー神話


 さて、最後にこのブログらしく、登場するクトゥルー神話要素の紹介へ。
 一応ネタバレ回避のために、『プリティベル』の画像を置いてスペースを、と。


 本当にネタバレになるものについてはまとめて白反転をしていますので、どんなものかと興味を持たれた方はご覧になって下さい。



 擬人化ショゴス


 プリティベルには可愛らしい擬人化ショゴスが登場します。
 本当にモチモチのプルプル。ショゴスらしさを残したデザインで、ショゴスらしく奴隷で、そしてショゴスらしくおそろしい!
 食べ残しダメのシーンは、『うちのメイドは不定形』のテケリさんから。テケリさんも髪で物をつかむのです。


 スティーブン・キング『ミスト』のネタ


 クトゥルー神話っぽいクリーチャーが登場するスティーブン・キング『MYST』。プリティベルはそこから更に影響を受け、上の画像のようなシチュエーションが!


 プリティベルにおけるクトゥルー神話要素のリスト


 素敵なことにむちゃくちゃ多いんですよ!
 ですが、紹介するとネタバレになってしまうので、すべて読み終わった人、あるいはネタバレが大丈夫な方のみ反転してご覧下さい。(携帯などからご覧になる場合、白反転されていない場合がありますので注意です)


 一巻

 ナイアルラトホテップ事件(088)クトゥルー神話の邪神ナイアルラトホテップより。
 ・海魔騒動(088)クトゥルー神話において海魔と出てくればディープワンズ、ダゴンたちの呼称となる場合が多い。
 ・深きものども(154):マイヤーの二つ名。クトゥルー神話においてはいわゆる半魚人。魚と蛙と人間をミックスさせたような存在。『インスマスを覆う影』に登場する。後の巻でマイヤーはルルイエを拠点とする海魔族だと判明。


 二巻
 ・イタカ(098)クトゥルー神話の風の神イタカから。擬人化はこれが初めてではなく、ボークスのドール邪神少女イータ『死図眼のイタカ』がある。
 ・傘を差した少女(104):後にルラが名前と判明する。当然ナイア「ルラ」トホテップ。よく訓練されたクトゥルー神話ヲタは名前が判明していない段階でも、この少女ナイアルラトホテップかもと思っていたはず。ミステリファンがする犯人探しのように、「誰がナイアルラトホテップの化身か」を考えながら読む傾向がクトゥルー神話ファンにはあるから。なお、ナイアルラトホテップ/ニャルラトテップは自分の名前を人間体の化身に使うことが多く、ナイ神父、内原、ナイア、ニャーなど、モロバレのネーミングにしていることが多い。「這い寄る混沌」という二つ名が有名。P168で「その邪悪な安定…這い寄るように崩して見せよう」と言うセリフもその名称が念頭にあるとわかりやすい。……書いてて気付いた。ちょっと嫌な予感がする(謎)。
 ・「南極の氷をすべて溶かしつくし、すべて水に沈めようとした」(119):海魔騒動の内容。直ぐに思い浮かぶネタは2つ。1つは南極を拠点としていた古きものとクトゥルー眷属が行った戦争。もう一つは『それゆけ! ダゴン秘密教団日本支部』(宣伝)。他にもありそう。
 ショゴス(170):『狂気山脈』に登場。スライムの祖はショゴスと言われている。「無形奴隷」とあるのは「古のもの」の奴隷だったことから。不定形で怪力とあるのは、『うちのメイドは不定形』へのリスペクトだと思われる。


 三巻


 ・ヨグ=ソトースの鎌(014):ヨグ=ソトースは全次元の支配者であり、世界そのものといえる存在。クトゥルー神話の文脈で使われた場合は、あらゆるものに変化する何かであったり、異世界から何かを召喚する門として登場ことが多い。その名前が付いた鎌なんだから万能かつ強力なのは当たり前。三巻P66では「空間を切り裂き 「魔界」を噴出させる鎌なんだ」と紹介されている。
 ・海魔王ダゴン(019):深きものどもの長がダゴン
 ・「食べ残しだめ…」(041):『うちのメイドは不定形』に登場するテケリさんも、こんな感じで髪の毛を手と同じように使っていた。
 ・「また一つ…這い寄った…」(042)ナイアルラトホテップの二つ名は「這い寄る混沌」。


 四巻

 ・我々西軍が有する稀代の天才技術者ガリレオ(138)クトゥルー神話要素とは言いがたいが、ハーバート・ウェストのイメージが入っていそうな博士。「西」の博士だし、原作『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』と同じく童顔眼鏡だし。……強引かも。とは言え、デモンベインのハーバート・ウェストの影響は受けてそう。ちなみに、日本サブカルに置けるハーバート・ウェストには、『黒の断章』のハーバート・ウェスト、『デモンベイン』のハーバート・ウェスト、『EXTRA VAGANZA』の西正人、『LOVE DEAD』の西輪鳩子などがある。って他は全部エロゲなのね。
 ・「それが徐々に強く這い寄ってくるかのように…」(168):闇から這い寄ってくるかのうな魔物が三眼。ナイアルラトホテップの別名に「這い寄る混沌」と「燃える三眼」がある。


 五巻

 ・太平洋南緯47度9分西経126度43分海底都市聖都ルルイエ(007)クトゥルー神話で最も有名な座標であり、海底都市ルルイエがあると言われている。
 ・鬼神将フタング(012):「いあ いあ くとぅるふ ふたぐん」はクトゥルフ様を讃える言葉。有名なのはこんな感じ。「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん」は有名なクトゥルー神話における有名な句。
 ・「そ…そんな技…僕見たことないよ…?」(026):似たようなセリフをデモンベインのナイアさんも言ってた記憶あり。パロディを意識してそう。
 ・不定期清掃(072):シャルエルの力。スティーブン・キングの『ミスト』の怪物がモチーフ。
 ・魔物たちはすべて彼女の子であり生態系を形成しています(074):おそらく……だけど、シャルエルの造形モチーフは千匹の仔を孕みし森の黒山羊シュブ=ニグラス。
 ・本棚に「クトゥルフ神話の世界」「インスマスの影」「ラヴクラフト全集 上」「ラヴクラフト全集 下」(096):他にも「幻獣辞典」「マンガ古事記」「ギリシャ神話」「図解北欧神話」がある。おそらくこの本棚がそのまま『魔法少女プリティ☆ベル』に影響を与えている神話群だと思われる。
 ・ティンダロスの猟犬(099):鋭角を渡って現れる魔犬。クトゥルー神話の中でも結構人気の魔獣。
 ・「無慈悲な灼熱」(102):クトゥグア。炎の神であり、ナイアルラトホテップの天敵。実は気付かなかったんだけど、「無慈悲な灼熱」は解説にあるように、デモンベインの名曲からのリスペクトらしい。なおクトゥグアを呼ぶと……こうなる?
 ・「待ち受けし蜘蛛神」(114):アトラク・ナクア。クトゥルー神話における蜘蛛の神。『アトラク=ナクア』という百合伝奇ゲームが出ているが、こちらは名前だけ。
 ・「這い寄る混沌」ナイアルラトホテップだ(132):説明不要。書かれているものそのまま。


 六巻


 ・紛れもなく「無貌」だった(004)ナイアルラトホテップの有名な二つ名に「無貌の神」がある。この無貌の演出は上手い。
 ・孕んでいるシャルエル(032):やっぱりシュブニグラスっぽい。
 ・ヨグ=ソトースの門(043)デモンベインにそっくりのイベントあり。同様にヨグ=ソトースの門が召喚される。


 七巻


 ・ヨグ=ソトースのかけらで作った偽モノだけど…:ヨグ=ソトースは先述したように邪神の名前。


 ・南極溶かし:同じコンセプトの作戦をダゴン密教団が実行しようとしたクトゥルー神話作品が『リトル・リトル・クトゥルー』にある。実はここの管理人の掌編。


 ▼おまけ。


 今回の紹介では厚志さんのことにまったく触れなかったわけだけど、何人の人がダマされてくれるのでしょうか。一巻を読んで想像と違った! ってなる人もいると思うと……ふふふ。


 ※以上、クトゥルー神話関連のものを文字情報以外からも抜き出しましたが、細かいパロディも入っていそうなので、漏れがあるかもしれません。その場合は是非コメントなどで教えてください。
 ※続刊分の神話要素もこちらに追加していく予定です。