八車文乃はニャル様がモチーフだったのかもしれない……。(『夢見る貝』より)
夢見る貝は、上巻 ~喰線蟲 グリッドイーター~と下巻 ~朔 デッドムーン~に分かれて、2011年に発売されたサウンドドラマです。
『果てしなく青い、この空の下で…。』と『アトリの空と真鍮の月』の間を結ぶ時系列の作品であり、その中にあの八車文乃が登場します。(さらに言うなら『アトリの空と真鍮の月』のキャラも若干名)
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その『夢見る貝』には、クトゥルー神話を意識したワードが登場します。
その中で、八車文乃は「旧き神々の一人」、「あの女は人間と神の二つの存在が共存しているようだ」、「混沌の化身」などと呼ばれています。
それ以外にも見つかるクトゥルフ神話からインスパイアされたらしきワードを以下にまとめてみます。
■ 夢見る貝 上巻 喰線蟲 グリッドイーター(2枚組)
◇ ディスク2 トラック01より
足見陽彦「なんでも海神信仰? という邪教を信じてたらしいぜ」
入間弾「海神信仰? なんでこんな山の中で海なんだよ」
足見陽彦「そんなこと俺ぁ知らねえよ。とにかく、その海神信仰ってのは、生け贄とか神様に捧げるような集まりでよ、普通の宗教じゃないらしいぜ」
◇ ディスク2 トラック01より
入間弾「夢見貝?」
足見陽彦「なんでも水の底に沈んでいる大きな貝で、意識を持っていて、はるか昔から夢を見続けているそうだ」
入間弾「変な話」
足見陽彦「その夢見貝の食べ物が、喰線蟲なんだよ」
入間弾「ふぅん、貝の餌ねえ」
足見陽彦「その貝に触れた人間は、その貝の見る夢になっちまうって話で……」
◇ ディスク2 トラック13より
鬼ケ瀬白馬「お前は旧き神に属するもの」
八車文乃「あなたは、遠き神に属するもの」
◇ ディスク2 トラック13より
鬼ケ瀬白馬「お前は何のために生まれてきた?」
八車文乃「私? 私は、生まれた時から死んでいた」
■ 夢見る貝 下巻 朔 デッドムーン(3枚組)
◇ ディスク1 トラック07より
鬼ケ瀬白馬「あの女、山神の気配がする」
車坂亜希「山神って、旧き神々のこと?」
鬼ケ瀬白馬「しかし、遠き神々の気配もする」
車坂亜希「どっちなの?」
鬼ケ瀬白馬「どちらにしても、白馬に近い何者か」
車坂亜希「また、妙なのがやってきたね。山の中に潜り込んでる女もかなりあやしいし」
車坂花衣「喰線蟲が皆を呼び寄せているのかもしれないわ」
車坂亜希「ああ、第三界の関係者なら何らかの知識はあるだろうしね」
鬼ケ瀬白馬「山の中にいる女。あれは旧き神々の一人だ」
車坂亜希「えっ。神々の一人って、それって相当やばいんじゃない?」
鬼ケ瀬白馬「互いに距離を取り合うという話をした。あの女は人間と神の二つの存在が共存しているようだった」
車坂亜希「そういうのも、世の中にはいるのか」
※「山の中にいる女」とは八車文乃のこと。
◇ ディスク1 トラック09 および トラック18
第三界、および海神にまつわる話があれこれ登場します。
18の方は『果てしなく青い、この空の下で…。』で登場した踊り子のワードがちらほら。
◇ ディスク2 トラック03
ここには喰線蟲(グリッドイーター)の具体的描写が多いです。後にクトゥルフ神話要素として使う方には良い資料。
【喰線蟲(グリッドイーター)】
・喰線蟲は、緑色のセミの幼虫に見える。
・尻から針を出して刺す。
・刺されると胃がひっくり返るくらいの吐き気を催す(?)
・毒針をすぐに抜くと、助かる可能性があり。ただし運任せ。
・グリッドイーターは刺す時だけ針を出す。すぐに抜くと毒が針の中に残る。(八車文乃は、その人を刺して抜けた針を回収した)
・毒の程度によっては、第三界の生物に成り果て、山の中をうろつくことになる。
・鬼ケ瀬白馬「グリッドイーターの毒針は、時神の位置を固定する。時の中をさまようあの邪神を捕まえるには、その方法しかない」
キャラクターに関するとあるネタバレ、以下反転:車坂亜希「白馬ちゃ……いいや、海神さま自身がそういうなら、従うしかないけど」
◇ ディスク2 トラック09
上蔵達吉「混沌の化身の考えることはさっぱり予見できませんな」
六車月乃「それはいえるわ」
ここで言う「混沌の化身」は八車文乃のことです。
八車文乃はは他の箇所で旧き神々の一人とも言われていますし、混沌の化身と合わせるとニャルさまの一部分でもある人間の可能性が……?
(ただし、『果てしなく青い、この空の下で…。』と『アトリの空と真鍮の月』が厳密なクトゥルフ神話作品とは言えない部分もあるので、ニャルさまを暗示させているのだけれど、ニャルさまとは呼べない可能性も。なので、タイトルでは「モチーフ」にとどめました)
また、このトラックでは第三界および海神のあれこれについて少しだけ触れられます。
◇ ディスク2 トラック13
車坂亜希「芦日村には第三界の神の中でも、狂王と呼ばれている物騒な奴らが祀られているみたい。本家はそれを山神と呼んでいて、熱心な信仰者みたいだね」
鬼ケ瀬白馬「狂王というと、イヴィクか。確かあれのそばには、遠き神々の監視者がいたはずだが」
車坂亜希「それはぜんぜんわからないよ。遠き神々って、海神さまより偉い神様なんだろ。そこまではさすがに」
鬼ケ瀬白馬「海神は遠き神々によってこの地に遣わされた。地上から旧き神々を第三界においやるために」
車坂亜希「白馬ちゃんもその一人なんだろ?」
鬼ケ瀬白馬「性格には白馬ではない。海神とは建造物なのだ」
車坂亜希「建造物……。つまり、それじゃあ」
鬼ケ瀬白馬「そう。この夢見貝。これこそが海神そのものだ」
車坂亜希「なんだかぁ……、あまり強そうじゃないね」
鬼ケ瀬白馬「諍いの神ではない。安息と平穏をもたらす神だ」
車坂花衣「太乙村と入間村に、平穏を?」
鬼ケ瀬白馬「そう。そして、ここから流れ出す川の下流の人たちも守られる」
車坂亜希「そのためのダムか……」
※芦日村は『アトリの空と真鍮の月』の舞台。
◇ ディスク3 トラック01
太乙村と入間村の神の話。また、芦日村の神の話。海神信仰と山神信仰など。
◇ ディスク3 トラック05
芦日村の山神信仰と海神信仰の話。
◇ ディスク3 トラック07
通路の先には大きめの綺麗なホールがあった。大聖堂とでも言えばいいのか、このホールには細かな彫刻が無数に刻まれていて、そしてステンドグラスが散りばめられていた。不思議なのは、いまは夜で、ここはおそらく地下だというのに、ステンドグラスが淡く優しい光を灯していて、まるで海の中のような色になっていた。
(中略)
鬼ケ瀬白馬「こっちに来い、弾。ここに夢見貝がある」
(中略)
車坂亜希「天然のブルーダイヤを加工して作られた貝だ」
(中略)
鬼ケ瀬白馬「これが海神だ」
入間弾「海神? この貝が?」
車坂花衣「はい。神によって作られた夢を見る貝。この地を守るためオルガミス牧師の手によって、この地に召喚されました」
(中略)
車坂花衣「オルガミス牧師は海神の信仰者で、海を渡り、この入間村に来ました。その後、太乙村に身を寄せ、海神信仰の布教をした後、神様からお告げを聞いたそうです。何年か後、狂王と呼ばれる第三界の荒神が地上を暴れまわることになるだろう。その厄災から入間村と太乙村を守るために、海神をこの地に誘うよう、命じられたそうです」
※ラスト間際なので、その他海神に関するネタのあれこれが登場しまくります。
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