山本ニューさんのボーカロイド作品
■ 『まどろみのみどりご』
ニコニコ動画に[クトゥルフソング]タグを登録し、創作のお供に使っていた私ですが、ある日、登録した覚えのない曲を発見しました。
誰かタグを有効利用してくれているのかな……と思って嬉しくなって開いてみましたが、その曲を一度拝聴した段階では、それのどこかクトゥルフ関係なのかわかりませんでした。
その曲は、『まどろみのみどりご』――。
山本ニューさんの曲です。
一体、この曲のどこがクトゥルフ神話なのか?
ヒントは、タグにありました。
[Felipe DiLaavicraf]
これでピンとくるでしょうか?
[Felipe DiLaavicraf]を検索しても、作者の解説しかひっかかりません。
ですが、それで確信しました……。
Felipe DiLaavicraf は実在しない人物だと。
しかも、HPラブクラフトを元に創った嘘っぱちの名前だと。
ピアプロで公開されている作者の解説にはこのように書かれています。
http://piapro.jp/content/hdup5rkh1olbqng5
19世紀末ドイツに興ったネオ・グノーシズム運動は、その過激な活動とは裏腹に、幾多の美しい宗教歌を産み出しました。
近年の研究でもっともとりあげられる機会が多いルリェ(R'lyeh)派は、特に音楽方面での活動に熱心であったことでも知られます。
そのルリェ派の中心的教団であったクスル(Cthlu)修道会の賛美歌をミクの歌声で再現しました。
原曲はクスル会の創始者フェリペ・ディ=ラーヴィクラフ(Felipe DiLaavicraf)による古ドイツ語ですが、ドイツ語はさっぱり分かりませんので、ミース・カトニック(Mees Katonic)歌唱による英語版を参考に日本語に移し変えてみました。
オリジナルの崇高さにはとてもかないませんが、その一端でも伝えることができれば幸いです。
なお、「まどろみのみどりご」を収録したミース・カトニックのアルバム『大いなる者、旧き者(The Great One,The Old One)』はスペインの「IMITACIONE y MENTIRA」レーベルからCDリリースされていますので、興味のある方はぜひ検索してください。
実に上手すぎるアプローチです……。
『クトゥルー神話の謎と真実』や『マレウス・モンストロルム』でもクトゥルー神話関係の嘘ンコの発掘品や資料を掲載していますが、初音ミクのオリジナル曲と解説を使って同じコンセプトを現実レベルで成し遂げてしまうとは!!!!
あまりにもそれっぽい内容を書いているため、普通の人は絶対に気付きません。
クトゥルー神話ヲタの私が、[クトゥルフソング]タグを経由して聞いても気付かなかったんですし。
しかし、気づいてしまうと、曲の価値が一変します。
綺麗なはずの歌詞が、不気味な裏をギリギリ隠したオカルト的なものに!
■ 『冬の祭り』
山本ニューさんの新曲『冬の祭り』はとっても綺麗で幸せな曲です。
[みんなのミクうた]タグが登録されていることからも、その曲の雰囲気がわかるでしょう。
ですが……。
その一方で、[クトゥルフソング]および[ミクトゥルフ]タグが登録されています。
楽しげに歌われている『冬の祭り』ですが、クトゥルフ神話ものとして聴きなおすと、その実、怖い意味を持った曲だということがわかります。
出来るだけ綺麗な曲にし、内容をクトゥルーとはぎりぎり悟らせないレベルにすることで、クトゥルフを知らない人に良い曲だと思わせることに成功しています。
本当……、上手すぎるとしか良いようがありません。
「オカルト」による現実の侵食を、リアルな現象として我々に体験させてくれるのですから!