ニャル子さんクトゥルフ神話ネタ全部解説・第SAN話
ここはクトゥルフ神話のステマブログ。
神々の信者を増やすためにも、今週もやりますよー!
■ 第三話のクトゥルフネタ
・「地球の神々よ、運が悪かったな。」:クトゥルー神話において地球の神々はむちゃくちゃ弱い存在。人間に近い姿を持ち、ドリームランドに住む。
三話のラストでニャル子が地球の神々を守る地位につくが、実はこれラヴクラフトの設定をなぞっており、ニャルラトテップは地球の神々を守る存在として描写されている。
・「パズス」「ナラギリ」「テスカポリトカ」:今週の叫び声は、女神転生2に登場する邪神の名前で統一。こちらにモロなリストが。なお、クトゥルフ神話TRPGの邪神やモンスター情報満載の『マレウス・モンストロルム』には、なんとニャルラトテップの一顕現にパズスとテスカポリトカがあり、そのデータが紹介されている。
また、PC98時代のクトゥルー神話系ゲーム『ティラムバラム』では、ニャル様がテスカポリトカとして登場するようです。コメントでの情報提供ありがとうございました!
・「千の貌を持つ妹なんていらないからな」:千の貌(顔ではなく、貌と書くのがクトゥルー的なポイント)は、もちろん千の化身を持つとされるニャルラトテップのこと。
・「禁断の黒の書にも記された呪われし邪神ハンターの血脈によるもの。」:黒の書とはがフォン・ユンツトが書いた『無名祭祀書』ドイツ語版の別名。(著名なクトゥルー神話魔導書には、他に、『ネクロノミコン』『エイボンの書』『ナコト写本』『妖蛆の秘密』『水神クタアト』『ルルイエ異本』などがある)
『邪神ハンター』とは、出海まことが書いたエロライトノベル。カバラ神拳という近接格闘術を使って邪神とバトるクトゥルー神話作品。士郎正宗がエロ絵を書いていたりと、色々な意味で驚愕の作品で、少し前、クトゥルー者の間でよくネタにされた。
はっ……。今更の憶測だけど、ニャル子さんが宇宙CQCをネタにしているのは『邪神ハンター』のカバラ神拳の影響があるのかも。
なお、「邪神ハンター」的な、クトゥルー神話における抗神組織には、「デルタグリーン」「ケイオスシーカー」「ウィルマースファウンデーション」などがある。
コメントでご指摘いただいたのですが、同じクトゥルー×拳法なら『DADDYFACE』に「九頭流」なるものが登場します。
・「なにものかにげんむきょうのかみがみがさつがいされ われわれがいきのこったかみをほごしないと」:幻夢境とはドリームランドのこと。『ラヴクラフト全集6』に収録されている『未知なるカダスを夢に求めて』が直接の元ネタで、ナイトゴーントやシャンタク鳥やニャル様や地球の神々が登場する……のですが、ここの管理人がかつて読みきれなかった作品ですので、元から本好きの人にしかおすすめしません。……正直、挫折率は高いと思います、はい。
・るるいえはいすくーるの二人:クトゥルフ神話TRPGリプレイに登場する二人。そのままこちらの表紙に登場。
しかし……その……なんだ。
……ふぅ……。
・ニャル夫の正体。:月に吠えるものの姿。第一話のアイキャッチになったこの画像と対比して考えるなら、ニャル子の本体は本当に、ちっこいあれなのかもしれない。
……と書いてましたが、訂正。原作小説を踏まえると違うようです。
『這い寄れ! ニャル子さん 2』にはこうあります。
「姿を自由に変えるニャルラトホテプ星人特有の、全力を出す形態だった。その際には個人個人で思い入れの強い姿になるらしい。」
つまり、ニャル夫の「月に吠えるもの」の姿は本体ではなく、それが一番強い=思い入れのある姿ということのようです。
ちなみにニャル子が「黒鋼のストライバー」に似た姿に変身するのも同じ理屈。
なお、ニャル夫の変身後の姿は『クトゥルフ2010』の表紙に描かれたものです。イラストをお描きになったNottsuoさんはこんな風に喜んでました。
・ニャル夫の双眼鏡がクトゥーニアンっぽい:クトゥーニアンとは『地を穿つ魔』に登場する地のクリーチャー。巨大な触手持ちミミズをイメージすれば大体あってる。グロいけどこんな感じ。
クトゥルフ神話関係ないけど、額の絆創膏の張り方は、『三つ目がとおる』の写楽保介、『未来日記』のムルムルと同じ。
って最初は書いてたけど、無茶苦茶関係あることに気付いた! ニャル様の別名にある「燃える三眼」。これを『三つ目がとおる』のネタと重ねたんだ! ちなみに「燃える三眼」は第二話、変身後のデザインとして取り入れられていた。こんなの。
こんなの、普通ぜってー解らねえって……。
さらに追加。よくよく考えると、冠を含めたニャル夫って三眼にデザインされている。
あと、髪で隠れているけれど真尋の額にも絆創膏が張られている。これをあえてつなげて解釈すると、アニメ版の真尋も実は正体ニャル様とか……? 流石にずれた推理だと思うけど、一応。
・ナイトゴーント:別記事で書いたのだけど、ニャル子さんのナイトゴーントはウルトラマンのゼットンに似せてデザインされたっぽい。比較画像はこれとこれ。まあ、そうは言っても、普通に描いてもこんな感じのデザインなのですが。
ウルトラマンとクトゥルフについての歴史はこちらの記事にまとめてあります。相変わらず物凄く長い記事ですがっ!
・グール:日本のRPGだとゾンビなどに似たアンデッドモンスターの一種として扱われるが、クトゥルー神話のグールは犬っぽい顔を持ち、屍肉を食らうクリーチャー。光を苦手とし、地下で生活する。『ラヴクラフト全集4』に収録された『ピックマンのモデル』で登場するものが有名。イメージ画像はこんな感じ。
・「口にするのもはばかられる対艦チェーンソー」:正直、チェーンソーはクトゥルフ神話以外からの影響だと思う……んだけど、あえてクトゥルー神話関連作品から引っ張りだしてきても結構例がある。
クトゥルー神話要素が多い『怪物王女』のメインヒロインの主武器がチェンソー。一巻からしてこの表紙。
教えていただいたのですが、海外版クトゥルフの呼び声TRPGのサプリメント『13 Horrors』の表紙。こんなかんじ。
同じく教えていただいたのですが、クトゥルー神話関連作品である映画『死霊のはらわた』シリーズで使われる武器がチェーンソーのようです。
そして、チェーンソーが扱える有名ゲー『スプラッターハウス』にも実はクトゥルー神話があったりします。超ネタバレでかつ相当グロいのですが、この動画の36秒から御覧ください。「いあいあ」言ってるのがわかります。
おまけ。エルヴィス・プレスリー(チェーンソー持ち)対クトゥルーの画像がこちら。
あと、対艦の部分は、スパロボに登場するゼンガー・ゾンボルトの対艦刀が元ネタでしょうか。クトゥルー神話要素を使ったアニメの『イクサー1』がスパロボに登場していますので、クトゥルフ神話と遠いつながりがないこともないのですが、流石にこれはこじつけ過ぎの気もします。
ツイッターで教えていただいたのですが、『はいよるこんとん(這い寄る混沌)』が宇宙人として登場したワイルドアームズシリーズのWA4こと『ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター』に「対戦車チェーンソー使いのバルガイン」がいるそうです。多分直接のネタはこれですね。
・「トラペゾヘドロンは砕けないの先行放送があるんですよ」:「輝くトラペゾヘドロン」と言えばニャルラトテップを召喚する赤黒カラーの宝石。『ジョジョの奇妙な冒険』の「ダイヤモンドは砕けない」のパロ。
・シャンタッカー:クトゥルー神話でシャンタク鳥を乗り物として使うことをバイクと重ねたネタ。ちなみに、同じく乗り物として使われるクリーチャー、バイアキーをバイクとした作品が『リトル・リトル・クトゥルー』に収録されていて、実はここの管理人の作品。はいはいステマステマ。
■ 追加分
2012年04月26日追加。
・テストの元ネタは『魔導書ネクロノミコン』の画像:コメントで情報をいただき、ツイッターで画像をいただきました。こちらの画像を御覧ください。11行目までですが、そのまんまです。
・「今は真尋さんだけがお兄さんでスン高原」:口をふさがれている時に一瞬だけ言われているスン高原とは、クトゥルー神話に登場する架空の地名。トゥチョ=トゥチョ人によって守られ、ロイガーとツァールが封印されているという。
コメントでの情報提供ありがとうございました!
・「縞瑪瑙の城」:ドリームランドにあるカダスの山頂には縞瑪瑙の城があり、地球の神々が住むという。ラヴクラフト全集6のP311からP312にかけて描写あり。(カラーリングが少し違うけれど、全体的な雰囲気はそっくり)
コメントでの情報提供ありがとうございました!
・ニャル子さんの料理上手:ニャル子さんが料理上手なのは、ニャルラトホテプが菊地秀行の『妖神グルメ』にて天才料理人という化身を取ったからだという指摘をコメントでいただきました。これは凄く面白い推理!
『妖神グルメ』は日本ならではのクトゥルー神話として、多くのクトゥルー者が好きな作品にあげる小説。購入の際には、天野喜孝のイラストがつくのでこちらの旧版がお薦めです。(新版は挿絵が無いらしいのですよ)
・シャンタッ君の卵:原作でもシャンタク鳥の卵が交易に使われていることが描写されている。『ラヴクラフト全集6』のP258に「噂に名高いシャンタク鳥の香りたつ大きな卵を積んで」とある。
コメントでの情報提供ありがとうございました!
・ニャル夫の服のデザイン:コメントとツイッターで色々と情報をいただきましたが実は特定できておりません。どこかで見たことあるような無いような。
『ラヴクラフト全集6』に登場するナイアルラトホテップの描写はこんな感じ。「長身痩躯にして古代のファラオを思わせる若やいだ面貌を備え、虹色のローブをまとってきらびやか、内在する光によって輝く黄金の二重冠をいただいていた」
ちなみに、ワイルドアームズの「はいよるこんとん」説もいただきました。確かに似てなくもないですね……。
2012年05月04日追加。
・「口にするのもはばかられる対艦チェーンソー」:ツイッターで教えて頂きました。「口にするのもはばかられる大司祭」というニャルラトテップの化身が、『マレウス・モンストロルム』で紹介されています。
■ 後書き代わりのオマケ
とまあ、来週以降もこんな感じで続けていく予定です。
後書き替わりといってはなんですが。
この一週間、ニャル子さんで初めてクトゥルー神話を知ったという呟きを沢山見ました。そこで、アニメから3つ例をあげ、実は触れているかもしれないですよー、というのをやってみます。
まず、『そらのおとしものf』の第五話ED。こちらの1分10秒あたりにクトゥルフさま(地図のマーカーも丁度ルルイエのあたり)がいます。
次に、こちらの『怪物王女』のオープニング。最初、横に流れている言葉が、クトゥルフ神話における有名な言葉「That is not dead which can eternal lie.And with starnge eons even death may die.(そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり)」です。なお、原作であるコミック版『怪物王女』にはかなりの数のクトゥルー神話要素が登場します。後日、まとめて紹介予定。
そして、ANOTHERの第三話。ピンポイントでここだけですが、こんな感じで架空のラヴクラフト全集が登場します。
最後に、『Fate/Zero』。キャスターが所持しているのがクトゥルー神話の魔導書として有名な『螺湮城教本(ルルイエ異本)』。そして呼び出した海魔がクトゥルー神話の怪物っぽい何か。
まあ、それぞれ、ほんのちょこっとしか出ていないのですが、気づいていなかっただけで、結構クトゥルー神話ネタに触れていたでしょう?