【ネタバレ注意】南Q阿伝のストーリー根幹にかかわるクトゥルフ神話要素


 
 「南Q阿伝」は「怪物王女」で登場した蜘蛛の神──南久阿を主人公にした物語です。
 南久阿は当然クトゥルフ神話由来の蜘蛛神アトラク=ナクアから採用されています。
 
 発表されてすぐの頃に紹介記事を書いたのですが、物語が進むに連れて、根幹部分にクトゥルフ神話存在がどでんと居座っているのがわかりました。
 「南Q阿伝」は連載終了して結構経ちますので、もうそろそろ書いても大丈夫かなあ……と思い、書き記すことにします。(実を言うと、機を待っていたというかは、単純に最近読み返して思い出しただけかもですが) 
 
 
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 以下、もろにネタバレです。
 改行しておきますので、すでにお読みになった方、あるいは読んでなくてもぜひ知りたい方、あるいはクトゥルフ神話存在と聞けば手を出して買いたくなるのでぜひ教えてくれ! という方などは、スクロールしてお読みください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 さてさて。
 ネタバレです。
 

 
 南Q阿伝の敵として出てくるのは、「渡来神」。
 日本を侵略しようとして、外側からやってきます。
 
 

  
 こういう頭部が手と目しかない黒塗り人間みたいな存在です。
 この渡来神、とあるクトゥルフ神話存在なのですが、わかります?
 
 
 答えはこちら。


 
 渡来神の正体はこちら。
 みんな大好き、イスの偉大なる種族!
 
 このイスの偉大なる種族は「怪物王女」にも登場しています。
 しかも、超絶悪役!
 過去、現在、未来と自由に時を渡れる力を使ってくるチートキャラとして猛威を奮っていました。(余談ですが、「南Q阿伝」第十六話は「怪物王女」とリンクし、「怪物王女」のあるシナリオの前日譚として描かれています。怪物王女が好きな方はチェックしてみてください)
 
 

 
 
 さて、改めて「南Q阿伝」のイスの偉大なる種族と渡来神のデザインを比較してみてください。
 大きな目に、頭のちょぼちょぼが重ねられています。
 
 
 この渡来人=イスの偉大なる種族は、南Q阿伝のメインの敵で、日本に侵略を仕掛けてくる敵として描かれています。
 イスの偉大なる種族に由来する過去、現在、未来と時間を超越する能力を持っています。
 そのおかげで、少々ややこしい感じになります。
 
 
 そのややこしさが極まった面白いセリフがこちら。
 
 


 
 
 偉大なる種族「我ラコソハ 偉大ナル次ノ時代ノ支配者 日本人ダ」
 
 
 わかりにくいかもしれませんので、解説します。
 今の日本人(普通の人間)が将来的に偉大なる種族になる……というのではなく、渡来神=偉大なる種族が「将来的に日本の侵略を成功させる」ため、「日本人」を名乗っているという感じです。
 「将来的に日本の侵略に成功する」のだから、イスの偉大なる種族の将来的に日本人。なので、その将来からみて過去である現在にやってくるイスの偉大なる種族は日本人を名乗っている……というわけです。渡来神が執拗に日本に侵略してくるのは将来的に日本で栄華を築くイスの偉大なる種族の秩序を守るためというのですから、未来が先か過去が先かという複雑な因果関係になっています。
 
 
 ちなみに、この偉大なる種族、過去の歴史を改竄&正当化するため、1000年前の過去世界(西暦1000年あたり)に戻り、「1000年後に日本国は偉大なる種族に返上する」と書かれた書簡を井勢神宮(モデルは伊勢神宮だと思われます)に埋めておくわけですが……。
 
 


 
 イスの偉大なる種族が日本人を名乗っていることと合わせると、これって、つまりはイスの偉大なる種族ではなく……。
 
 
 「イセ」の偉大なる種族ってことかよっ!
 
 
 ※ 作中には「イセの偉大なる種族」なるワードは登場しません。 
 ※ でも、おそらく、クトゥルフ神話者だけに届くネタとして、「イセ」のワードを選んでいたのだと思います。
 ※ 偶然かも……。
 
 
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