ゆっくり達のクトゥルフの呼び声TRPGの神話項目詳細解説
■ ニコニコ動画における「ゆっくり×クトゥルフ」ブームの発端作品
現時点で35万再生!
物凄い数字をたたき出している「ゆっくり達のクトゥルフの呼び声TRPG」ですが、この作品で初めてクトゥルフ神話TRPGに触れた方も多いと思います。
相変わらず、クトゥルフ神話用語が出たところに限定ですが、解説させていただくことにしました。
よろしければ御覧ください。
■ クトゥルー神話関連台詞抜き出し
◆第0話
・クトゥルフの呼び声TRPG:ゆっくりクトゥルフシリーズが始まってからアマゾンで売り切れているのを時々見かける。でも、アマゾンの判断で仕入れていないだけで、出版社には在庫があることが多いので、欲しいと思ったら地元の書店経由で注文するのが良いかも。*1
・いや、俺的にニャル様は精神崩壊するまでじっくりとっくりビビらせて、それから殺すイメージだな。:ニャル様とは、ニャルラトテップ、ニャルラトホテプ、ナイアルラトホテップなどと呼ばれる混沌が大好きな邪神。『嘲笑う神』『這い寄る混沌』『血塗られた舌』等という二つなを持つ。千の化身を持つと言われ、色々な姿で登場。単純な武力行使を好まず、策謀を張り巡らせて人類を混乱に陥れる。こんな感じ。
・ディープワンに遭遇すると正気度が1D6減る。…と言っても、お前にはディープワンが分からないか。:ディープワンとは深海の住人。深きものと呼ばれることも。魚のような蛙のような人間のような種族。半魚人っぽいものを想像すれば大体は正解。こんな感じ。
・ちょっといじれば簡単にクトゥルフっぽくなるよな。パチュリーとか絶対ネクロノミコン読んだことあるぜ。あそこには、他にも冒涜的な蔵書が沢山あるに違いない。:ネクロノミコンはクトゥルフ神話で最も有名な魔導書。著者はアブドゥル=アルハザード。日本では萌えキャラして、こんな感じになった。
・いや、もしかしたらアリスも危険かも知れん! あいつは自律人形を作る過程で、チクタクマンに魅入られてしまうかもしれない。:先に説明したニャル様の顕現の一つ。機械人間っぽく描写される。特徴があるのでニャルさまの顕現の中でも結構有名。
・そうだ、この前香霖堂に空き巣に入ったとき、店の中で怪しい黒い物体を見かけた! あれは輝く輝くトラペゾヘドロンに違いねえ! あの店も焼かなくては!:輝くトラペゾヘドロンとは、ニャル様を召喚できる黒に紅い線が入った結晶体。トラペゾヘドロン(Trapezohedron)には偏方二十四面体とねじれ双角錐の意味があるが、他の描写から「輝くトラペゾヘドロン」は偏方二十四面体とされている。こんな形。
・いや、ニャルといえばあのスキマ妖怪はニャル様の化身かも知れん! あの歴史を嗅ぎまわっている奴はイス星人だ! 永遠亭の奴らは本当は冥王星から来たんだ!:イスとは、時間をわたれる精神生命体の種族名。イスの偉大なる種族と呼ばれるだけあり、人間を含む生命体と精神を交換し、知識を貪欲に収集している。こんな感じ。
・邪神と戦う図書館司書とかな!:ミスカトニック大学図書館の館長をつとめるヘンリー・アーミティッジ教授は、『ダニッチの怪』でおぞましい存在と戦うことになる。
・それで!? 今回はそこが舞台なんだな!? 冒涜的な絵を描く画家はいるのか!? 夢の世界に旅立つ作家は!?:冒涜的な絵を書く画家には、『ピックマンのモデル』のR・U・ピックマンと、『果てしなく青い、この空の下で…。』の八車斉臥がいる。また、夢の世界に旅立つ作家とは、ランドルフ・カーター。
・冥王星から来たような奴らに治療されるなんて冗談じゃないぜ! 脳みそ摘出されてどっかに運ばれるなんて嫌だああああああああ!:冥王星から来た奴らとは、ミ=ゴのこと。ミ=ゴとは菌類からなる甲殻類という不思議な宇宙生命体。人間の脳を缶に入れて生きたまま運ぶ技術を持つ。この脳缶もネタにされることが多い。ミ=ゴはこんな感じ。
・何を言う! 奴らなんか銃さえあればイチコロだぜ! ショットガンがあればダゴンくらいは殺れる!:他のゲームでの対ダゴン戦はこんな感じに。01:00くらいから。
・いや、違うな。こいつはインスマス面に違いねえ!:インスマス面とは、アメリカの漁村インスマスの住人の顔に多い特徴。深きもの。一言でまとめると半魚人っぽい感じに。これ……は違うか。
・おおおおおおおおお! なんだか燃えてきたお! その設定でやるお! ダゴン秘密教団日本支部のメンバーだお!:『がんばれ! ダゴン秘密教団日本支部』は実はこの管理人の作品。この管理人の作品。大切なことで二度言いました。『リトル・リトル・クトゥルー』に3編掲載。ステマかわいいよステマ。
◆第1話
・こ、これはもしや古来よりアフリカに伝わる伝説の邪教・・・!:シナリオに関わってくるので解説は省略。
・でも『闇に囁くもの』だと普通にライフルと番犬でミ=ゴを何匹か殺してましたよね?:ミ=ゴとは菌類生命体。イラストとしてはエビっぽい甲殻類にキノコが生えた感じで描かれる。
・クトゥルフも漁船で体当たりされただけで怯んじゃうしな。:クトゥルフの呼び声からのネタ。実はクトゥルー様、『クトゥルフの呼び声』では、神と言うよりも巨大な怪物っぽい感じだった。あと、水の神というのも疑われていて、こんな感じで時々ネタにされる。
・『邪神と人間のハーフ』なんて中二くせえ設定のくせに、『空き巣に入った先で番犬に食い殺される』というマヌケな死に方してる奴もいるしな。:ウィルバー・ウェイトリィ。このエピソードは凄く沢山のところでネタにされる。
・あれはあれだお。ミスカトニック大学のことだから、ティンダロスの猟犬でも飼ってたんだお。:ミスカトニック大学とはクトゥルフ神話に頻繁に登場する架空の大学。ミスカトニック大学出身者と言う名前のキャラが登場したら、たいていは魔術を習得していたり、神話知識を持っている探索者だったりする。日本だとミニスカート大学と言われてネタにされることも。ティンダロスの猟犬は。鋭角を通って現れる次元の間に棲む魔物。丸い壁で覆った部屋の中に隠れることで逃げ切ることができる。こんな感じ。
・うp主は ARKHAM NOW を辞書片手に翻訳しながら読んでいるそうだが、その中に『ミスカトニック大学にウィルバーの幽霊が出る』という記述があるそうだ。まああんな死に方したら浮かばれないよな。:ARKHAM NOWはクトゥルフの呼び声TRPGのサプリメント。クトゥルフ神話における架空都市アーカムの設定が色々と書かれている。ミスカトニック大学がある場所。ウィルバーはさっき説明した番犬に殺された半神半人。詳しくはこちらなどを参照ください。
・『蔭洲升探偵事務所』に決まってるじゃないかお!:『インスマス』をもじって『蔭洲升』はよく使われるネタ。
・海上自衛隊の皆さん! こいつの村の沖合の暗礁に魚雷ぶち込んでください!:ラヴクラフトの短編『インスマスを覆う影』からのネタ。
・冗談だよ。依頼人はすぐに我に帰り、無礼を詫びながら名詞を渡してくれる。名詞には『山崎優子』という名前と、彼女がアーカム・アドヴァタイザーという雑誌社の記者であることが書かれている。:アーカムはクトゥルー神話によく登場する架空の街。アーカム・アドヴァタイザーはそこにある架空の雑誌社。
◆第2話
・今回の敵はおそらく食屍鬼ですが、食屍鬼は獣臭いです。これらの臭いを駅員さんは感じていたでしょうか。やらない夫さん。:日本におけるグールはアンデッドモンスターだが、クトゥルー神話世界における食屍鬼は、犬のような頭部を持つ獣人間。こんな感じ。
・在日米軍ですか。デルタグリーンでもいるんですかね?:デルタグリーンとは、クトゥルフの脅威に立ち向かう抗神組織を扱ったクトゥルフ神話TRPGの人気サプリメント。こちらに詳しい。
◆第3話
戦闘回でほとんどなし。
◆第4話
・『バカめ、魔理沙は死んだわ!』とか勘弁してくれお。:ラヴクラフトの有名短編に登場する台詞。ネタとしてよく使われる。
◆第5話
・もちろん、日本におけるクトゥルフ教の活動拠点だお。東京に住んでるインスマス面はだいたいここに所属してるお。日々ルルイエの浮上を早める方法が研究されているお。:この管理人が書いた作品に(中略)ステマかわいいよステマ。ちなみに流れている曲はこちらで解説しています。
・最近では、日本にもイハ=ンスレイみたいな海底コロニーを作ろうって一大プロジェクトが進行中だお。東京湾に作るか蔭洲升村に作るかは決まってないけど。:イハ=ンスレイとはインスマスの沖合にある悪魔の岩礁近くに位置する海底都市。
・シュルズベリィ博士みたいに、クトゥグア召喚して焼き払うしかありませんね!:クトゥグアを召喚すると……こうなります。
・名前は……多権(だごん)さんでいいかな。いいよな。:ダゴンは水の神。深きもののトップ的な存在。こんな感じ。カルドセプトでは偶然の同名かもしれないが萌えキャラ化してこんな風になった。
◆第6話
・「我々の住処は、ここ帝都の地下にある古代遺跡群だ。私がしらべたところ、これは人類誕生以前に存在した古の存在の移籍だと思われる。奴らはここを占拠する気らしい」:クトゥルフ神話の大きなテーマの一つに、人類は所詮、大きな宇宙の流れの中では泡沫的な存在でしかないというものがある。人類の誕生以前に、地球を支配していたものたちの遺跡が登場することも多い。
◆第7話
戦闘回でほとんどなし。
◆第8話
・「星の智慧派」という名前の教団のようだな。:クトゥルー様を崇めるダゴン秘密教団とニャルラトテップを崇める星の智慧派はクトゥルー神話世界の中でも最もよく使われる二大崇拝団体。「星の智慧派」はロバート・ブロックの『アーカム計画』で大活躍する。
・狂人でも困るだろ。きっと日本支部は穏健派なんだよ。では〈クトゥルフ神話〉ロール。:\偉大なるクトゥルーさまの為に!/
◆第9話
ほとんどなし。
◆第10話
・一番上に『アトゥの召喚/退散』って書いてあるな。その下には呪文が羅列されている。:『マレウス・モンストロルム』では、アトゥはニャルラトテップの化身の一つとされている。ドレイク『蠢く密林』に登場、触手を持った光る円柱状の形をしているらしい。
・エイボンの書ラテン語版:【Book of Eibon】9世紀。オリジナルはハイパーボリアの魔法使いエイボンによって書かれたものだと言われているが、このラテン語によって書かれたものは伝わっていない。印刷されたことは一度もなく、現在は綴じられた写本の形のものが6部、図書館のコレクションに納められている。正気度ポイント喪失は1D4/2D4。〈クトゥルフ神話〉に+13%。(以上、『クトゥルフ神話TRPG』初版より)
◆以降
リリースされてからできるだけ早いうちに、このページに追加していきます。
■ あとがきもどき。
この解説は、作業用BGMとして流している間、クトゥルフ神話用語っぽい単語が聞こえたら止めて、チェックするというのを繰り返したものです。ずっと流していたので一話につき、十数度は繰り返し聞いたつもりですが、それ故に耳に慣れ、本来ならチェックすべき用語をスルーしてしまっている可能性もあります。
チェック抜けが絶対にあると思います。ご了承下さい。
そして何より……。
恐らく6話〜9話までのデータ(最悪2話と3話も)をセーブし忘れたかもしれないことに気づきました。もう一度最初から全部チェックし直すのは大変なので、とりあえずこれでアップします。後日暇な時を見つけて追加する予定なのでお許しを……ガクリ……。(2012年04月15日追加。最初からチェックしなおして、6〜9話で抜けていた箇所を追加しました。元から用語が少なかったようで、すこしホッ。)
と、いうわけで。
簡単にゆっくりたちのクトゥルフの呼び声について。
2011年03月31日に公開された『ゆっくりたちのクトゥルフの呼び声』は日本クトゥルフ神話史に刻まれても良いほどの影響をクトゥルフ神話界に与えたと思っています。*2 *3
単純にお考えても現時点(2012年04月)での1話再生数が35万位。たとえ9割がクトゥルフを知っていた人だったとしても、残り1割、つまり3万人以上をクトゥルー神話というジャンルに引き込んだことになります。これは物凄い数字だと思うのですよ!
第一回ゆっくりオブ・ザ・イヤーの獲得の後、さらに認知度が上がったらしく、『ゆっくり妖夢と本当は怖いクトゥルフ神話』、『ふたりでクトゥルフ』、『これはひどいクトゥルフ』、『ゆっくりとロールする』、『ゆっくりクトゥルフの怪談』、『クトゥルフ神話TRPG 〜ナチスの陰謀〜』、『ゆっくり×ぷよキャラで冒涜的なTRPG実況』などの素敵な作品が続きました。*4
なお、後日、ニコニコ動画における大雑把なクトゥルフ神話もまとめたいと思います。
更新、本当に楽しみですよね!
魅力ある「ゆっくり×クトゥルフ」各作品と合わせ、応援させていただきます。
*1:クトゥルフ2010の在庫が結構あるネットショップを見つけていて、今回の紹介時にリンクを貼ろうと思っていたんだけど、ニャル子さんの解説の時に試みに貼り付けたら一瞬で売り切れてしまった……。
*2:ここの管理人、毎日クトゥルフ/クトゥルー/ラヴクラフトなどgoogleとツイッターで検索し、クトゥルフネタの作品を探しているSAN値ゼロのクトゥルー脳患者ですが、この作品が登場してからクトゥルフTRPGをプレイしたいと言う呟き、及び購入報告がじわりじわりと増えたのをリアルタイムで見てきています。なお、ニャル子さんアニメ化からの影響という指摘もありましたが、2011年04月〜2012年03月における検索ではニコ動を中心とした「ゆっくり×クトゥルフ」の影響の方が圧倒的に大きかったように思います。尤も、2012年04月に入ってニャル子さんが超爆発しましたが! ちなみに、ニャル子さんで初めてクトゥルフ神話に触れた人はクトゥルフ神話TRPGではなく、ラヴクラフト全集の購入や、解説書の購入につながることが多いようです。ゆっくりからクトゥルフに興味を持ったという報告が物凄く目立つなったのは確か2011年秋あたりからで、ゆっくり・オブ・ザ・イヤーを獲得した辺りからさらに加速しました。2012年に入って「ゆっくり妖夢と本当は怖いクトゥルフ神話」や「ふたりでクトゥルフ」などの「ゆっくり×クトゥルフ」ブームが起きてブーストされ、現在のクトゥルフ神話TRPGブームにつながっています。
*3:ニコニコでニャル子さんの再生数がむちゃくちゃ多いのは、まず作品が面白いことが第一として、ニコニコでのクトゥルフ信者が物凄く多いことも影響していると思います。ゆっくり×クトゥルフを見ている人は、そのままニャル子さんも見るでしょうし。他にも、アイマス×クトゥルフ、東方×クトゥルフ、ボカロ×クトゥルフ、MMD×クトゥルフ、そしてタグ職人やコメント職人など、沢山のクリエーターによる沢山の作品が投稿されていたおかげで、こんなブームにつながったんだと思います。